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《チャレンジャー》二人の研修生 (結城 覚くん&林 毅くん)

2012

4月から私たちの農場に二人の農業研修生がやってきました。地元宮城県松山町から、毎日40分の道を車で通って研修に来ている。結城覚(ゆうきさとし)くんと、兵庫県神戸市出身で、大阪府立大学農学部の林毅(はやしつよし)くん。偶然にも二人とも22歳の同い年です。
  結城くんはこれまで、県内の大規模大根農家での研修を経験して、現在は独立にむけて、宮城県農業実践大学校の開催する開放講座「ファーマーズカレッジ」を受講しています。今年、自ら魅せられたおいしい南瓜栽培に挑戦しています。
  林くんは、「食に対する考えを深めたいと」大学を休学してうちの農場にやってきました。農場では「有機認証」 担当の仕事をしながら、実取り大豆の栽培を行う予定です。農業の現場で奮闘する、二人の挑戦を応援してゆきたいものです。

結城くんの米づくりレポート

【1】

今年は米づくりに挑戦します。その応援を阿部さんの家族からいただき、田んぼをお借りする事ができました。

昨年の研修で本当にたくさんのことを学びました。良い仲間にも恵まれ、農業のおもしろさ、やりがいが広がりました。阿部さんのアドバイスもあり地元で農地を借り野菜作りも始めています。「自分でやらなくちゃ」と言っていた阿部さんの一言の大切さが今は良く分かります。このチャンスを無駄にしない経験を田んぼを通して学んでいきたいと思います。

今回、この田んぼに入る肥料を阿部さんから提案があり、米ぬかを使った「ぼかし肥」に決めていました。化学肥料を使わない田んぼから生産されたものだけの米づくりになるため、どのような生育を見せるか、すごく楽しみです。このぼかし肥は米ぬかに微生物を混ぜ発酵させたもので、これでお米ができれば、とてもおもしろい農法になると思います。

米ぼかし散布後、水を引き代掻きをしました。代掻きするのは初めてで、実際やってみると全然平らになりません。思っていたよりずっと難しく技術のいる作業でした。

結局、阿部さんに代わってもらい、平になってゆく田んぼを見ながら、まだまだ覚える事がたくさんあるなぁと痛感しました。

いよいよ田植が見えてきました。少しづつ形になってゆく田んぼをながめていると充実感でいっぱいになりました

【2】

さて、いよいよ田植えです。天候は曇り風はなく、田植えにはちょうど良い日になりました。
私は手植えをしてみたいと考えていたので朝、阿部さんに教えてもらいながら、オサ引き(植える位置を決める線引き)をしました。これも思っていた以上の重労働で田んぼに足をとられ、線がまっすぐに引けません。とても重いもので凄く疲れました。

今回用意した苗は「ひとめぼれ」です。この品種は比較的つくりやすいということで、初めて作るにはちょうど良いようです。そして今日は、私と阿部さん以外に3人の助っ人に来てもらいました。昨年通っていた、農業実践大学校で知り合った人達です。3人とも家は非農家で将来は農業をやっていきたいというメンバーです。以前からみんなと農作業をしてみたいと思っていたので、今回その思いがかないました。

軽快な阿部さんのジョークもあって和やかな雰囲気のもとで、みんな楽しんでくれたようです。私もみんなとできてとても良い経験ができました。このような田植えができて本当に良かったです。

そして今回阿部さんのご家族にはだいぶサポートしていただきました。本当にありがとうございました。これからも機会をみつけ、体験していきたいと思います。

【3】

田んぼの稲もだいぶ大きくなり、それと一緒に雑草もいっせいに生えてきました。よく見ると、水の浅くなった所に集中して生えています。深い所はそれほどでもありません。こうしてみると田んぼを平らに水を均等に張ることの大切さがわかりました

手で草を取るとなると、とても大変です。そこで除草機を使って草を取りました。

その機械は3つの車輪が付いていて稲と稲の株間を車輪が回転して前に進んでいきます。株間の雑草が土の中に埋め込まれていく仕組みです。この作業を縦列、横列かければ、きれいに雑草は無くなります。これで稲もすくすく大きくなってくれると思います。

雑草は、本当に伸びるのが早くて、すでに2回も除草機を使いました。あと何回使わなくちゃいけないのか、田んぼの管理はとても大変です。

【4】

今年の東北は、日照不足と長雨でだいぶ稲の生長に影響があったようです。私の回りの田んぼでも、ちょうど穂の形成期に寒さが当たり、実の入らない空っぽの穂をつけた稲がたくさんあります。また、天候の悪さから、イモチ病が多く発生し、田んぼを見れば消毒している人の姿が多く目に付きました。

私の田んぼは田植えの時期が遅かったため、寒さの影響をあまり受けずに実が成長してくれました。

穂もだいぶ垂れ下がり、いよいよ収穫の時期が間近に迫ってきました。稲の実を喜ぶ一方で、ヒエの実りも目に付きます。今年は対策が遅れ、ヒエもびっしり実をつけていました。残してしまうと来年さらに沢山のヒエが生まれてきてしまいます。ここは頑張ってヒエを取らなければいけません。昨年阿部さんの田んぼで、いやになるほど沢山のヒエを取っため、「これくらいたいしたことないな」と借りた田んぼが小さくて良かったなぁと思いました。

ヒエもなんとか無くなり、やっぱり田んぼはきれいなのが一番だなぁと達成感に浸りました。これで管理も一段落し、いよいよ稲刈りシーズンに入ります。

【5】

まちにまった稲刈りの日がきました。 天候はあいにくの雨、前日までのカラッとした晴天が嘘のようにどんよりとしています。

今日の稲刈りは私の他に田植えをしてくれたメンバー3人と仙台市に住む伊東さんという方が手伝いにきてくれました。頼もしい助っ人4人と、とても楽しい稲刈りとなりました。

今回の稲刈りは手刈りで行いました。大変ですが収穫の喜びが”ズシッ”と穂の重みとともに伝わってきます。みんななれない腰を屈めての作業に苦労していましたが、次第に稲を刈る音も軽快に聞こえてきます。途中雨も上がり、あっという間に刈り終わりました。刈った稲はあらかじめ立てておいた棒にかけ、時間をかけて自然乾燥させます。この棒がけの方法も阿部さんから教わりました。穂と穂が重ならないよう、通気性を考えて積んでいきます。昔の人の知恵には本当に驚かされます。後は時間をかけて乾燥するのを待ちます。

数日がたちました。棒がけの稲もだいぶ垂れ下がりました。いよいよ乾燥してきたようです。今日は南方町で農業をしている千葉さんという方に手伝いをしていただき稲こきをしました。今年の寒さの影響が気になりましたが、思っていたよりもたくさんの籾がたまりました。この後阿部さんの所で籾すりしていただき玄米に仕上げてもらいました。粒も大きく飴色でしっかりしたお米ができました

【6】

私の米づくり体験もとうとう食べるところまで来てしまいました。
5月種蒔きの際、無理をいって田んぼを貸していただいてから早くも6ヶ月たちました。あっというまでしたが、作業の思い出はとても鮮明に残ります。何といっても、同じ夢を追いかける仲間と出来たことは、とても意味のあった事だと思います。昨年とは違い自分から何をしたら良いか考え行動できました。稲の生育のしかたもとても気になり興味を持って観察出来たと思います。米づくりの面白さがますます広がりました。

炊き上がったご飯はとてもキラキラしていていい匂いがしてきます。おいしいかな?・・・・・少しドキドキしながら一口・・・・・・なんだかとても変な感じがします。

今までこんなに意識してお米を食べた事があるだろうか?正直あまり意識しすぎて味がよく分かりませんでしたが、ついに食べた!と感動しました。このお米をわたしのお世話になっている人たちに食べてもらいたいと思います。たのしみです。

今回このような機会を与えてくださった阿部さんやご家族の皆さんには大変お世話になりました。とても貴重であり、これからの私の将来にとってまちがいなく、支えとなるものになりました。この取り組みと結果を大切にしていきたいと思います。どうもありがとうございます。


結城くんのカボチャ作りレポート

【1】

阿部さんのところでの研修も早6ヶ月がたちます。種まきに始まった研修も田植え稲刈りと順調に進んできました。無農薬の米作りはとても手間がかかる作業で、なかでも夏の草取りはふきだす汗に目がしぼみ、頭のモウロウとする日もありました。「これも無農薬の醍醐味」と思わなければとても毎年できる作業ではないと思いました。

初めて阿部さんにあったとき、「何か作ってみたい作物はあるかい?」と突然聞かれました。今までに農業の経験はありましたが、自分で作物をきめて育てたことはありません。「何を作ろう」すごくドキドキしました。だいぶアレコレと考え「そうだカボチャを作ろう・・・」

以前、私はすごくおいしいカボチャを食べたことがあります。それは「伯爵」(はくしゃく)という種類のカボチャで皮が白く身もどちらかというと薄い控えめな色をしていました。食べるまでそんなカボチャの存在すら知りませんでした。「うまいなぁ」カボチャというより石焼イモの味がしました。

「よし」と始まったカボチャは全部で5種類、小さいのから大きいのかわいい物まで色々です。もちろん伯爵も作りました。この時、阿部さんに種の蒔き方、栽培方法など、ほとんどの栽培過程でアドバイスをしてもらいました。種蒔きから数日後、ぴょこっと、かわいらしい双葉が一斉に出そろいました。どれも元気いっぱいのようです。日を追うごとにグングン大きくなります。しかし、問題も出てきました。イモムシです。朝見てみると葉のいたるところに虫食いの跡・・・しかも今も旨そうにムシャムシャと葉を食べている真っ最中、この日からイモムシと私の戦いが始まりました。「食われてたまるか」朝と夕方入念にチェックしました。「つぶされてたまるか」見つからないようにじっと葉の裏で隠れていました。敵も然る者で気づくとムシャムシャムシャムシャ・・・この後、定植するまでの間、本当にたくさんのイモムシをつぶしました。

【2】

さて、いよいよカボチャの苗の定植です。今回阿部さんの提案で露地ものとハウスものに分けで栽培してみることにしました。ここでは、ハウスものについて取り上げてみます。栽培方法として空中栽培を試してみました。この方法は、支柱をトンネルのように組んでいき固定します。それをネットで覆い、そこをカボチャのツルがつたっていくという仕組みです。これで、実がなったとき地面ではなく空中にぶら下がるというわけです。この方法で傷のない商品を目指しました。また、空中に這わせることで小面積の栽培で多収穫をねらいました。

定植後の生育はこれがまた大変でした。一日で10センチ近く伸びるツルの誘引と、わき芽の処理、葉はだんだん巨大化しうっそうとしてきました。10日もたつと雄花が咲き、続いて雌花が咲きました。阿部さんからは、「はじめの雌花に授粉しないと次の雌花との距離が空き連続着果しなくなる。」との指摘があったので入念に授粉の作業をしました。カボチャの花は今回作った品種に関係なくどれも10センチ前後の大きさで、とても奇麗で、濃い黄色が”パッ”と目に飛び込んできます。散るのが早く二日もするとポロリと落ちてしまいます。

授粉作業も加わり、世話はいっそう追われるようになりました。段取りの悪さからハウス内は凄い状態でわき芽同士が絡み合いとても管理とはほど遠い状態になりました。しかし、幸いにも梅雨の合間の晴天でハウス内が高温となり親ヅルの先端が、焼けるという大打撃を受けてしまい、伸び放題に伸びたわき芽を有効に利用できるようになりました。その他、6月はアブラムシの大量発生、うどんこ病、疫病と苦戦の連続でした。アブラムシの大量発生に関して木酢液、ニームオイルなどの防除を試みましたが、明らかに早期防除ができなかったことが、大きな原因となりハウス全体に広がってしまいました。いずれも6月の過湿の時期に病気が広がり、ハウスでの栽培がいかに大変か考えさせられました。

しかし、うれしい話もありました。それは、意外な仲間たち、ハチです。数匹のハチが、次第に数を増やし最終的には、数十匹もの数になりました。どこからきたのか毎日飛び回っています。この後、彼らは収穫の終わる10月半ばまで飛び続けてくれました。おかげで授粉の作業をほとんどしてもらい大変助かりました。

【3】

8月、いよいよ収穫の時期を迎え心待ちにしていたシーズンがやってきました。

5種類のカボチャはそれぞれに成長し、その実を重そうにぶらさげています。まず「坊ちゃんカボチャ」(小玉品種)の結果からお話していくと、実の大きさ、ツヤともに思いどおりのできばえで、手のひら大の果実ながらほどよい甘みと、ホクホクした食感がありました。この品種はレンジで7~8分加熱するだけで食べられるという手軽なもので、おやつ感覚で楽しめるのが魅力です。残念だったのが後半の生育が今ひとつ期待したほど収穫量が取れませんでした。そして「プチーニカボチャ」(小玉品種)はこれもまた小ぶりな品種です。色がとてもカラフルでオレンジに近い黄色をしています。味の方はというと、甘みが少なく食感も今ひとつでした。この品種に言えることは生育過程で実をつけ過ぎたのが、味と実の大きさ、食感を悪くした原因ではないかと思います。「味平」「ほっこり」(大玉品種)この2品種は成長の段階で病気による被害を受けてしまい、その後の生育も良くありませんでした。そして「伯爵」(大玉品種)ですが、初めの生育こそ順調でしたが、親ヅルが高温のため焼け、その影響なのか雌花も焼けてしまい大変でした。果実は今ひとつの大きさで、食感はホクホクとしておいしかったのですが、甘みが少ない気がしました。

今回ハウスでのカボチャ作りはとても良い勉強になりました。品質、収穫量と品質によってバラバラでした。小玉品種はハウス栽培に向くようですが、大玉品種の物になると管理も大変で、空中につるしたせいなのか、実も小さいものばかりでした。結果だけ見れば成功とは言えませんが、この経験でなによりカボチャが身近な存在になり、少しだけ分かった気がします。これからもカボチャは作り続けたいと思います。

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